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カメルーン12日目

 

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若さに挑む!4,000m超え、カメルーン山登山記
 
カメルーン8日目から10日目の3日をかけて、西アフリカの最高点まで登ってきました。その山の名はカメルーン山、カメルーンにあるからカメルーン山、まあなんの捻りもないのですが、その3日間をダイジェストという形でお送りしていきます。昨日には帰ってきていたのですが、憔悴しきっていて疲労困憊のため中一日休んでのこととなります。正直にいってこれは僕にとっての本格的登山の初挑戦でした。
 
自慢ですが、僕の登ったカメルーン山というのは日の本一の高山、富士山より高くて、その標高は正確に言うと4,090m。しかもこの山は海の近くにそびえているので、海抜0mからトップを目指すのです。おそらく富士山に登る人のだいたいは五合目まで車で行ってそこから登山が始まるかと思います。まさか樹海から目指すなんて物好きはいないですよね。そこから山頂までは約1,500m、この山を踏破した僕には散歩のようなものです。(今登れと言われれば100万積まれても拒むけれど笑)それにさすがアフリカの山、山道は整備は最低限で細く険しくホント惨憺たるもので、常に危険と共にありました。何度も左足を捻ってしまって、最後には頼りない左足首に成り果ててましたしね。
さあ、長い旅路の始まりは曇った朝の10時でした。でも朝は早くに起きて、食料の調達に出ました。ここでゆで卵を五個、パンとチョコをゲット。他にはその前に仕入れておいたオイルサーディン3缶、パインの缶詰め1缶、インスタントラーメン5袋、水6Lをバックパックに詰めます。これが3日分の食料全て。後は寝袋と着替え、カメラを入れて、重量はだいたい12、3Kgといったところ。これは自分で運ぶのではありません。ポーターを雇い、彼らに運んでもらうのです。わざわざ金を払って引っ越しでもないのに荷物を運んでもらうってよく考えるとなんか馬鹿げた話のような気もします。
それはまあおいといて、ポーターたちが僕らの宿泊施設に中々来ず、結局は出発時刻が1時間延びて、恒例のアフリカンタイムで10時に出発。

f:id:baobab-no-ki:20170228190716j:plainポーター達。あんまり屈強という印象は得ない

登山メンバーは僕、アンディ、タミー、クリス、トム、ジュリア、ムフィー、ブレークに加えてインド人、還暦手前のピジョーシが登山口までついていくということで計7名となりました。実はこのピジョーシ、最後まで参加するか悩んでいて、結論は断念ということになっていたのですが、あれよあれよという間に後戻りできないところまで登りついてきて、なんの登山準備もなしに登頂を成し遂げてしまうことになるのです。これにはあっぱれでしたね。その詳細はゆくゆくに。

f:id:baobab-no-ki:20170228191052j:plain頭に20kgの荷物を乗せて登ったり、ビーサンで登山に臨んだりともう破茶目茶。なんでも楽なんだそう。なにか君らはサーカス団かねf:id:baobab-no-ki:20170228190922j:plain

最初は好調に順調に登っていきました。昼休憩をとったポイントにはポーターを含んだ登山者全ての中でトップでたどり着きました。なのに僕のポーターが中々来ないで、みんなが再出発して小一時間経った頃にようやくお目見え。素早くサーディンサンドイッチでランチを済まして、僕もまた登り始めます。

f:id:baobab-no-ki:20170228191214j:plain遭難しないために白いインクがところどころに塗られています。

ここからもまた快調に飛ばしていって、ピジョーシ、トム&ジュリア、アンディ&タミーの順に抜かしていきます。

f:id:baobab-no-ki:20170228191244j:plainこの頃になると森を抜け雲の中に入り、辺りは岩と草だけになります。また気温も下がってきます。標高は約2,000m

すると登っていこうとする細い道の向こうからマークとトビーが下ってきます。実は彼ら、日も明けぬ4時に先駆けて出ていってました。そして山頂に到達し、とんぼ返りで下山してきたところに出くわしたというわけです。ただ僕たちのルートは彼らと異なります。今登っている道をふたたび踏むことはなくて、山を越えてその向こう側の麓を目指すのです。

f:id:baobab-no-ki:20170228191317j:plainいくつかのキャビンが立ち並んでます。よくこんなもの建てるよなあと感心。

夕方、影も長くなった頃の5時に山小屋に到達。そこには1時間前にクリスら3人が一足早く到着してました。でも合計登山時間は同じくらいですかね。昼に無駄に出遅れたので。こうして初日にはけっこう余力を残してノルマを達成しました。また登るにつれ景色がみるみる壮大にまた見上げていた雲もここでは追い抜いて、初登山を大いに楽しめた一日でした。このポイントでの高さは2,850m。けっこうきましたね。残すはあと1,200mです。

f:id:baobab-no-ki:20170228191401j:plain暗くなり始め、やっとの思いでやってきたピジョーシ。相当苦しそうでした。

僕は体力に特別自信がある男ではありません。それどころか平均以下だと思えるほどです。中には放っておいてもパワーがみなぎってきてたまらないなんていう天性のお得な体質をお持ちの人もいますが。(今日のマーク、トビーを代表とするような)なのでこのツアーの始まる前にはこの旅のために毎日微量ながらも走り込んでいました。でもこのトラックに乗り込むと座ってるだけで僕たちをどこまでも運んでくれるので、それに怠けて動かないでいると積み上げた体力ストックは地に落ち、はたまた地下に潜ってる今日このごろ。そんな僕に試練の影がサッと落ちてきたのは登山2日目のこととなります。

f:id:baobab-no-ki:20170228191647j:plain雲平線(勝手に名付けた)に昇り始める太陽。その夜には見たことのないほどの数の星が夜空を覆っていて1時間ほど見入ってました。

2日目は7時半にブレーク、クリスとともに出発。ここから長い一日の始まりです。しかしさっそくに自分の身体の異変に気が付きます。登り始め10分で息切れが始まり、その5分後には立ち止まって呼吸を整えます。まさかこれは高山病というやつなのか!今調べてみますと2,500m以上で発症するものなのだそう。十分あり得ますね。心持ちも悪かった覚えがあるし。でも屈強な白人たちはまるでハイキングのように大股でリズム良くぐんぐんぐんぐんと進んでいって、あっという間に点となります。
僕はというと5分歩いては立ちどまり、また5分歩いては小休憩。これを繰り返してやっとの思いで第一中継ポイントに到着。一緒にスタートしたクリスたちは1時間も前にきていて、小屋の中キンドル片手に読書してました。ここから先はポーター達の案内が必要で、彼らの到着を待たねばなりませんでした。そして今考えてみるとこれが悪因だったのだと思ってます。歩を止め、休み過ぎたのです。1時間待っても彼らは来なくて、他のメンバーは次々にやって来ます。でもポーターは一向にやって来る気配がみえません。また1時間が経ち、おてんとさんの元草の上で寝ていたときに彼らはやってきていざ出発。しかしその時の僕の足の筋肉たちはカチコチに固まって、歩き始めたくないと主張してきます。でも僕は無理を言って、片足ずつ前に出すんだようと両足に命じます。

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そんな僕に立ちはだかるのは正に高い壁、もはや精神力も試されてきます。といってもこの面は僕にとってたいした問題にならないのですが…しかしいくら歩いても足の重たさは増すばかり、またいくら歩いてもゴールがみえません。

f:id:baobab-no-ki:20170228191905j:plainこのとんがったところは山頂ではなくて、きゃつはこの奥に待ち構えているのです。

落ちていくスピードと増す休憩の回数。十分先に出たピジョーシにすら追いつけずに最後尾を歩きます。それどころか距離をどんどん広げられている模様。僕の両足の悲鳴はピークに達しています。一歩の重さが尋常ではないなくて、もうずっと座り込んでしまいたくなります。それでもトボトボと着実に進んでいるとそのトップがようやく視界に入りました。

 

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おいおい待て待て待て待て遠いっ!遠いわ!!
いまこうして写真で見ると近くみえるかもしれませんし、もし下界にいて疲労ゼロでだったならば、走って10分足らずでいけるでしょう。でもこの時ばかりは違います。疲労のピーク、4,000mのこの環境でこの目の前にそびえる丘(この時の僕にとってはエヴェレスト)を登るのはとてつもなくつらいのです。なんで金払ってまでこんなことしてんだという今考えても仕様のない思考を頭の中で真剣に巡らせ、一歩々々をこれまでの人生で一番遅いペースで運んでいきます。
とっくの昔にたどり着いて記念撮影を済まし、下りようとしている仲間たちを尻目にして、僕は4,090mにタッチ!達成感に増して安堵感が僕に覆いかぶさります。(もう登らなくていいんだと)そしていままででもっとも高い地面に立っているのだと考えると感慨は一入です。でもそれにも勝る寒さと風。おそらく気温は5、6度でそこに暴風警報並みの風がたたきつけます。一通り写真をとってすぐさま退散。山頂にいたのは5分足らずだったと思います。いやほんとに寒くてとてもじゃないけれど長居できなかったです。でも景色は最高でした。巻頭の写真もそのひとつ。

f:id:baobab-no-ki:20170228191600j:plain入道雲なんかはとっくに追い抜いて、その上にあるのは巻雲のみの世界

f:id:baobab-no-ki:20170228192743j:plain証拠

f:id:baobab-no-ki:20170228193155j:plainみんなはもう雲に吸いこまれようとしています。

今考えてみると、この山頂アタックのドべになった敗因はたぶん体力の問題でなくて、4,000mを登るに必要な筋肉の絶対数が足りていなかったのだということ。足だけでなくて腕も筋肉痛になりましたからね。でも十分に体の基礎を備えていたら山登りというのはすごく楽しめるものだとわかりました。
 
そしてこの頂でおこったのがイギリス人カップル、アンディとタミーの婚約。アンディの誕生日であったこの日、彼はこの山のトップでタミーにプロポーズをしたのです。でも僕はその頃彼らを遠目に見ながら必死こいて歩いていたのですが、なので事後報告です。彼女の左薬指にはエンゲージリングが輝いておりました。おめでとうっ!
 
ちょっとここまでで一旦区切ります。長くなりすぎた笑     
                                後半へ続く…